◆2010年12月9日（木曜日）PM 1:15頃〜　　
株式会社ワークトゥギャザーロックトゥギャザー　前川社長様　　のお話


『もちはだ』の起毛生地を実際に手に取られた時の印象をお聞かせください。

そうですね‥
まぁ、カタログ写真にはちょっとそのベージュ色の‥
いわゆる肌着といいますか‥が、載ってたので、
頭の中で想像していたのは、ちょっとまぁカラーバリエーションができるのかな‥とか
それぐらいの感じでしか考えていなかったんですけれども、

最初に…カラバリができる、カラー展開ができるっていうことを知りまして‥


　　　　　　　あの時、ネックウォーマーをご覧いただいたんですよね。

はい。
そのサンプルを見せてもらって、で、やっぱり加古川の御社のところでしかできないという起毛に驚いて、
で、一番衝撃的だったのは丸胴（※）…（笑）

僕らまず丸胴の織機を探すのに一苦労してて、意外となかったりして…
で、僕らアメリカの50年代とか60年代とかのファッションが好きなんですけれども、
やっぱりそういう古着とかでも丸胴のものを探して、そういう商品をお客さんに売ったりしてましたんで、

丸胴の織機が、そしてしかもその起毛が‥（笑）
まず、丸胴の起毛っていうのがわからなかったんですけれども、
かきながら編みたてていくっていうのに、
まぁ、今まで知っている洋服の知識の中には　全くない技術だったんで非常に興味を持ちました。


　　　　　　　私は機械のこと詳しくなくて、ウチの工場での丸胴の織機が普通だと
　　　　　　　　　思ってたので（笑）普通の編み機は平であがってくるもんなんですね。

そうですね・・・カットソーの素材がニット仕立てになっていたりとか、
裏起毛ですけれども、要は、パイルとかであがってきたものを後からかいていくというもので、
同じ起毛でも…まぁ、・・・本当の起毛というか‥
もちはださんの起毛が「本当の起毛をやっている」っていう感じがしたんです。

　　（間）

起毛って・・・あのー・・・基本的には・・・僕らなんかちょっと扱いにくいと言いますか、
製品のものでも、生地のものでもなんかこう・・・
言い方に、ちょっと語弊があるかもしれませんけれども、安っぽいっていうか、
まぁ・・・・あまりこう、僕らのカジュアルなとこでは扱い難いところなんですね。

綿100の起毛っていうのもあるんですけど、やっぱり日本の気候に合いにくいところもあって、
‥で、お客さまも「起毛はちょっと‥」と言われる方がいるんです。


　　　　　　　例えば、毛糸など天然素材であれば、そこにあるだけで存在感が
　　　　　　　　　あったりするけれども、アクリル起毛というのは、御社のカジュアルな
　　　　　　　　　部分とはどうしても対極のところにある‥というところでしょうか。

はい‥そうですね。
でも、それで、そのもちはだの起毛っていうのは、
その高級感とは言わないんですが、クラシック・・
はい、クラシックな良さといいますか、同じアクリルを使っていても、安っぽくないといいますか‥。

そして高級なっていうのではなくて、「しっかりとしている」というか‥。
アクリルの起毛っていうのはどうしてもふにゃふにゃしているとか成型をとり難いとか・・・型崩れしやすいとか、そういう感じのイメージがあったんですけど、
まぁ、御社のもちはだ起毛は・・・しっかりしている。

で、やっぱアメリカのビンテージものは、いまだに古着として存在しているくらい、しっかりしているという耐久性がある。

まぁ、クラシックとかまぁ、僕らで言うビンテージって言うか・・・
そういう部類の風合いが、やっぱりこう・・・

その部分に丸胴（笑）
そしてやっぱり御社の場合、使われているフラットシーマ（※）ですね。

僕らも「フラットシーマ使いたいよね」ってなっても、
フラットシーマ自体がなかなか見つからなかったり、見つかっても縫製賃が高いとかそういうことが何度か今まであって、ぶち当たったりして・・・

でも、御社の場合はフラットシーマしかないって言われて‥（笑）


　　　　　　　はい‥（笑）昔ながらの、これがあたり前としてやってきたことが、
　　　　　　　　　御社にとっては新しい目線で魅力的に思われたんですね。

そうですね。
やっぱり・・・普段、僕らが扱っている洋服も、
まぁ、デザイン重視のパリコレとかで紹介されるコレクションブランドもあるんですけれども、
セレクトショップなので、そういった昔ながらのアメリカのワークウェアだったりとか、
ヨーロッパのそういう昔っからの猟師さんだったりがですねぇ、着られているウェアとか。

まぁ、作業用に使われてて、そしてデザイン的に新しくないんですけども、
昔ながらの‥やっぱり・・・うん・・・
やっぱり普遍的に価値のあるもの。
そういうウェアがたくさんあるんですけれども、
御社のもちはだの持ち味ですとか・・・

　　（間）

やっぱ、普遍的に変わらないとかって言っても
時代時代に‥、そういうヨーロッパのワークウェアであっても、アメリカの昔からのワークウェアであっても、
時代時代に多少合わせていける部分があって‥。

技術的なところであったりとか、・・・そういう昔ながらの技術的な部分っていう、そういったところっていうのは変わってないんですけれども、
時代のニーズに合わせる形で、例えばちょっとした見せ方であったりとか‥。

御社のもちはだを見た時に・・・
僕らで、ちょっとでも今の時代に少しでも変えることができたら面白いと思ったんです。


　　※丸胴‥‥横脇に 縫い目が入らない丸胴織機
　　※フラットシーマ‥‥フラットシーマミシンの縫い目（縫い合わせてある部分）は、ステッチをかけた
　　　　　　　　　　　　　　後の縫い目（縫い合わせてある部分）の裏側が膨らまずにフラット（平ら）な
　　　　　　　　　　　　　　状態になります。