2020/03/23
「長時間のデスクワークで肩こりや目の疲れがたまっている…」「子どもを抱っこしていて腰を痛めてしまった…」などといった悩みを抱える人が、心身のリラクゼーションのために取り入れたいものがマッサージです。
マッサージと一言で言っても、ヒーリング効果が高いものから強い刺激を伴うものまで幅広くあり、初めてマッサージを受ける方はどの施術を選べばいいのか迷ってしまうかもしれません。また、人気を博しているマッサージの背景には、特定の文化から発展しているものも多いことをご存知でしょうか?
今回は、世界の代表的なマッサージから、マッサージの選び方や特徴をご紹介していきます。各国のマッサージを比較して、自分にあったリラクゼーション方法を見つけてください!
世界のマッサージの中には、ユニークな個性を持つものも多く、お店の雰囲気や手法などにも違いがあるため、事前に自分が何を求めているのかをはっきりさせておくことが大事です。マッサージでは、大きくわけて以下の2つの効果が期待できます。
基本的にマッサージは心身ともに癒されることが共通のゴールです。ただ、施術内容によっては、痛みを感じる場合や、リラックス効果は得られても内容的に物足りないと感じるマッサージもあるのが事実です。
リラクゼーションに重点を置いてマッサージを受けたい人は、オイルを用いたトリートメントやストーンセラピーといった、刺激の少ない施術がおすすめ。また、店内の雰囲気がおしゃれだったり、リラックスできるかどうかなども、お店選びの基準の一つになります。
一方で、スポーツで疲れた体への施術や不調の解消が目的の人は、スウェディッシュマッサージや台湾式リフレクソロジーなど、ある程度体に刺激を与えるマッサージが心地よいと感じる傾向が強いです。
目的や施術方法、痛みの有無なども考慮して、自分にあったマッサージを選びましょう。
多くのマッサージは、体に与える刺激により新陳代謝の促進や筋肉の緊張をほぐすといった効果について言及しています。具体的には、肩こりや腰痛の緩和をはじめ、生理痛や不眠、冷え性やむくみなどに働きかけるほか、免疫力の向上や自律神経を整えるといった作用が期待できます。
マッサージの持つ特性によっても効果の現れ方には違いがあるため、集中的なケアが必要な部位がある場合には、下調べをしたうえで本格派の施術を受けることをおすすめします。
マッサージでは手の使い方がポイントとなるほか、オイルやストーンなどのサポートアイテムを使用することもあります。今回紹介するマッサージでは、体を刺激する手法は以下の3パターンが基本です。
リンパに滞った組織の液体の流れをスムーズにすることで、リンパ節に溜まった老廃物を押し出し、むくみの解消や血液の流れとも連動して体の調子を整えます。
体中に300以上も点在するツボをピンポイントで押すことにより、内臓をはじめとした全身の不調に働きかける、東洋医学の健康法です。
足裏や手のひらに集まる体の各組織の末しょう神経を、面として揉みほぐすことで特定の器官の問題にアプローチします。ツボよりも広範囲で、各組織の反射区が設定されていることが特徴です。
一般的にマッサージは、全身をターゲットにしたメニューが人気ですが、ツボや反射区に刺激を与える場合は「胃の調子が悪い」「目が疲れている」といった特定の症状に対しても有効な施術になります。
リンパに沿ったマッサージでも、不調のある箇所を重点的にケアすることもできるので、事前のカウンセリングやコミュニケーションを通して要望を伝え、オーダーメイドの施術により体をていねいにケアしましょう。
【タイ】タイ古式マッサージ
無形文化遺産にも指定されているタイ古式マッサージは、全身の筋肉に働きかける手法です。伝統医療として古くから伝えられているもので、体のエネルギーが流れるラインに沿って筋肉をほぐし、疲れた体が自然にもとに戻ろうとする治癒力を高めます。
アクロバティックな施術のイメージがあるかもしれませんが、ゆったりとしたリズムで体をストレッチするような動作が主流です。急激に体を動かすことはなく、ほとんどの場合は痛みをともないません。体の硬い人ほど体内に滞った血流を刺激しやすいため、効果を感じやすいです。
【インドネシア】バリニーズマッサージ
王族の女性たちの美容術として17世紀ころから受け継がれている、アロマオイルを使った全身マッサージです。手のひらで体のリンパの流れを意識して、力強くゆっくりと拇趾も使い、凝りやむくみなどに対して刺激を与えます。
インドネシア原産のココナッツやプルメリアといった天然由来のオイルを使い、心身ともに深い深いリラクゼーションへと導きます。通常のオイルマッサージと比べると、施術の際に力がかかることから、本格派のマッサージとリラクゼーションをバランスよく味わいたい人におすすめです。
【インド】アーユルヴェーダマッサージ
アーユルヴェーダとはインドの伝統医学であり、体だけではなく心や行動、環境といった要素も重要視して、心身の健康を導くマッサージです。
アーユルヴェーダマッサージの中でも、『アビヤンガ』と呼ばれる施術が人気で、温めた天然の薬草をメインとしたオイルを使います。全身にまんべんなくオイルを塗り込み、痛みをともなわないため、心地よいリラクゼーションタイムを体感できることが特徴です。
また、頭部をはじめ、体の特定の箇所にオイルを垂らす『シローダーラ』は、自律神経の働きを円滑にして、安眠効果も期待できます。仕事や考え事などによる脳の疲れを癒したい人をはじめ、若い女性にも人気です。
【台湾】台湾式リフレクソロジー
83箇所に及ぶ足の裏の反射区を刺激することで、全身に働きかける施術です。老廃物が多く溜まっている場合は、人によって痛みを感じることもありますが、慣れてくると心地よさへと変わります。一時的なリラクゼーションにとどまらず、体の不調に対して根本的に働きかけることが可能です。
台湾では医療代替療法として広く認知されており、しっかりと刺激を与えることで、体の内部をはじめ、筋肉や部位といった全身のバランスを整えます。オイル系のマッサージと比べると、比較的リーズナブルな値段で施術が受けられるので、継続しやすいです。
【中国】あん摩
日本でもなじみの深い手技療法ですが、あん摩は古来の中国から伝わってきたもの。基本的には道具を使用せず、手のひらを使い一定の圧力で同じ方向になでたりさすったりすることにより、患部に働きかけます。
中国では医療行為としておこなう際には『推拿(すいな)』と呼ばれている施術です。衣服を着用したままおこなうため、着替えの手間がありません。肩こりや腰痛をはじめ、冷え性などにも効果的で、血流のバランスを整える作用があります。
【日本】指圧
日本が世界に誇るマッサージが指圧であり、国家資格を持つ『あん摩マッサージ指圧師』が親指や手のひらを使っておこなう施術です。体中のツボを押すことで圧反射により、自然治癒力を高め、各機能の活性化をはかります。
中国のあん摩やさまざまな手法が融合して確立されたもので、体の反射を利用するという点では、台湾式リフレクソロジーとも似ています。皮膚や骨格、筋をはじめ、血液の循環などへの作用も期待でき、具体的には腰痛や肩こり、神経痛、生理痛などの症状の緩和が期待できるほか、リラクゼーション作用もある施術です。
【ハワイ】ロミロミ
波や風といったハワイの自然の流れと同調したリズムで、手のひらをはじめ、うでやひじなどによるストロークが特徴的なマッサージです。天然オイルを用いて、通常はうつぶせになり、背中から手のひら、足、頭部など全身の緊張がほぐれるように、揉んだり引っ張ったりして施術がおこなわれます。
セラピストの手に神聖なエネルギーが宿り、体を癒すというコンセプトのため、マッサージ前にはお祈りをする場合もあります。むくみや冷え性、腰痛の悩みなどのほか、ダイエットや美肌効果も期待でき、デスクワークによる疲れや日々のストレスなどを解消したい人におすすめです。
【イギリス】イギリス式リフレクソロジー
足裏や手のひら、耳などにある反射区に刺激を与える手法で、台湾式と比べると優しいタッチが特徴で、リラクゼーション効果が高いマッサージです。また、オイルやパウダーなどを使用するのが一般的で、滑らかでスムーズな施術が多くの女性に支持されています。
反射区を揉むことにより、目の疲れや内臓といった箇所にまでアプローチして、副交感神経の働きをサポート。痛みを和らげる作用が期待でき、イギリスでは医療保険の適応が認められていることから、ホスピスの緩和ケアや妊婦さんに対しても活用されています。
【スウェーデン】スウェディッシュマッサージ
スウェディッシュマッサージは、体の基礎体温を高めながらから不調に働きかけ、摩擦による皮膚への刺激を抑えるために少量のオイルを使用する本格派の施術です。実は、オイルマッサージの原点とも言われていて、スウェーデンの医師が科学的根拠をもとに研究を重ね、広く認知されるようになりました。
スポーツで疲れた体にも効果的で、通常のオイルマッサージよりも強い作用を期待する人におすすめです。冷え性やむくみといった悩みにも最適で、骨格や筋肉のラインを意識して段階的なステップを踏んで施術がおこなわれます。
【アメリカ】ストーンセラピー
石が持つパワーを活かして、温めたり冷やしたりして血液の流れを調整し、体の免疫力を高め筋肉の緊張などにも働きかけます。石が持つ特性により、ホットストーンとコールドストーンを使い分け、ストロークも手ではなく石を使うのが特徴です。
地質学者のサポートを受け、科学的なデータを検証しながら確立された新しいタイプのマッサージです。手を使った施術に抵抗がある人は、大地の恵みによる究極のヒーリングとして注目を集めている、ストーンセラピーを体験してみるとよいでしょう。
世界には驚くようなアイテムを使って、マッサージを行っているサロンもあります。現地に出向いた際には、話のネタにもなるので挑戦してみると面白いかもしれませんね。
【イスラエル】スネークマッサージ
毒のないヘビを複数匹使って、リラクゼーションを体感するという驚愕のマッサージ。恐怖心を払拭してヘビに慣れ、ヘビの滑らかでゆっくりとした動きや体に触れる感触によりリラックス効果が生まれるそうです。
【メキシコ】サボテンマッサージ
メキシコのシンボルと言っても過言ではないサボテンを使ったマッサージです。トゲはきれいに取り除いたうえで、温めたサボテンの内部を体に塗りながらヒーリングを体感することができます。
【ロシア】カタツムリマッサージ
カタツムリが出す体液は、近年化粧品クリームなどにも配合され注目を集めていますが、ロシアでは生きたカタツムリをマッサージに一早く取り入れて話題となりました。複数匹のカタツムリを顔や体に放して、粘液を皮膚にしみこませるユニークなマッサージ法です。
保湿効果とともに、傷跡を癒したり日焼け後の火照りを沈めたりする作用も期待でき、医療的な根拠に基づいたカタツムリを使用しています。
日本でも認知度の高いマッサージから驚きのアイテムを使った話題性があるものまで、さまざまな世界のマッサージを紹介してきました。多くのマッサージは、日本でも施術を受けることができるほか、現地で旅行に行った際に本場で体験するのもおすすめです。
マッサージの内容をよく知らずに「失敗した…」と後悔することがないよう、利用目的や効果も考えて慎重に選ぶことが大事。とっておきのリラクゼーションタイムを有意義に使えるように、自分にとって最適なマッサージを見つけたいですね。
生活ルーティーンの中に定期的にマッサージを取り入れたり、頑張った自分へのご褒美に利用したりして、体と心をケアしましょう!
[ライター:古屋 恵子]
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