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「冷え」に効く薬膳料理とは?美味しくて健康になれる簡単レシピ3選

2020/04/10

皆さんは薬膳料理という言葉に対して、どのようなイメージを持っているでしょうか。健康に良いという認識はあるものの「薬の匂いがしそう」「どうやって取り入れるのかわからない」という考えを持っている人も多いのではないでしょうか。しかしながら、薬膳料理は手近な食物で作ることができ、実生活にすぐに取り入れることができる料理です。

今回は、薬膳料理の基礎知識や効果、初心者にも嬉しい簡単につくれる薬膳レシピをご紹介します。体を温める薬膳料理で、冷えた体を労ってあげましょう。

薬膳料理とは

薬膳料理とは、中医学の理論に基づき、食物を用いて体調を整える食事のことを言います。

中医学では、「生き物は自然界の変化に沿った生き方をするのが良い」とう考え方があります。このことは食事にも当てはめることができ、例えば、体の中に熱がたまりやすい夏には体を涼しくして気力を補う食物を、寒い冬には体を温めて免疫力を高める食物を食べるなど、体のバランスをうまく取りながら心身の健康を維持しようというのが薬膳料理の基本です。

薬膳料理の効果

食物には体を温める、冷やす、巡らせる、抑えるなどの作用があります。これらの食物の作用を利用して、体を健康な状態に保ちながら疾病の予防、治療、回復、老化防止をする食養生が「薬膳」です。

薬膳料理は「薬食同源」という考えがベースにあり、スーパーなどで手軽に手に入る食物にも薬のような効果があると考えられています。薬に比べて作用は穏やかであるものの、日々の食事を楽しみながら体質改善を図ることができるというメリットがあります。

また、「五目」や「薬味」など一般的になじみのある料理も、実は薬膳料理のひとつです。薬膳料理と聞くと一見難しく感じますが、詳しく知っていくうちに、私たちは知らず知らずのうちに薬膳料理を作り、口にしていることに気がつくことでしょう。

薬膳料理の歴史

薬膳の誕生は、今から5千年ほど前の中国にさかのぼることになります。伝説上の人物「神農(しんのう)」が現れ、神農は自ら植物の花、葉、根を食べてみて、ときには毒に当たりながら、食物と薬を分類して人々に教えたという言い伝えがあります。この逸話が今日まで伝えられ、神農は「生薬学の祖」とも呼ばれています。

後漢の時代に著された『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』は、神農が確かめたそれらの植物に関する情報をまとめたもので、今でも薬学の専門書として研究が進められています。この書物には植物、動物が365種類が載っており、それによると食物は寒・熱・温・涼・平の「五性」、酸・苦・甘・辛・鹹の「五味」に分類され、それぞれ効能があることが記されています。

このように、古来より人々は自然のままの動植物を得て、食べ物としてきました。その過程の中で、例えば、生姜を食べると体がポカポカ温まる、反対にウリ類には体を冷やし利尿作用があるといった具合に、食物にはいろいろな作用があることを発見し、健康維持に役立てきました。

こうした試行錯誤によって生まれたのが、薬膳料理です。ですから体質や体調に応じた食物を組み合わせた薬膳料理を食べることで、自然治癒力を高める効果が期待できるというわけです。

薬膳料理の基本「五性」と「五味」

薬膳を日常の食事に生かすためには、食物の食性と食味を知っておく必要があります。食性と食味は、性能別に分類して「五性」と「五味」で示すことができます。

食性と食味の考えのルーツになっているのが、中国に古代より伝わる陰陽五行という思想です。その思想は、万物は木・火・土・金・水の5つの元素からなるという考えのもと、陰陽の相反する2つが協調しながらバランスをとり、万事を動かしていくというもの。その説から、自然のめぐみである食物にも木・火・土・金・水に対応する5つの「性」と「味」があると考えられるようになりました。

薬膳料理はこれら食物の特性を活かしながら調理することが大きなポイントになります。

●「五味」とは

食物には必ず味があり、中医学ではそれを5つの味に分類しています。
5つの味、つまり「五味」は、食材の味覚や働きから割り出したもので、味が違えばその食材の持つ働きも変わります。また、1つの食物のなかに、2つ、3つと複数の作用を持っているものもあります。

■ 酸味

酸味の食物は、筋肉や粘膜に働いて、体液などが漏れるのを抑えるなど収れん・固渋作用があります。そのため、寝汗、下痢、頻尿、遺精に有効です。

食材例: 梅、レモン、酢、ローズヒップ、柚子、いちご、トマトなど

■ 苦味

苦味の食物は、余分な熱や毒をとって炎症を抑えたり、湿気を取ってのぼせの症状を軽減させる作用があります。そのため、出血性疾患や夏バテ、便秘解消などに有効です。

食材例: セロリ、パセリ、ゴーヤー、緑茶、銀杏、みょうがなど

■ 甘味

甘味の食物は、血液などの栄養成分や気を補給し、痙攣や緊張を緩和する作用があります。そのため、滋養強壮や鎮痛に効果があります。

食材例: お米、芋類、ピーナッツ、はちみつ、牛乳、豆腐、ぶどうなど

■ 辛味

辛味の食物は、体を温めて気や血行を促進し、滞っているものを発散させる作用があります。それにより発汗が促進され、風邪の症状改善や冷え症に効果があります。

食材例: 生姜、ネギ、大葉、唐辛子、コショウ、にんにく、たまねぎなど

■ 鹹味(かんみ)

鹹味とは自然のしょっぱさ、つまり塩味のことです。鹹味の食物は、しこりを和らげ、潤し、軟化させる作用があります。そのため排泄を促し便通をよくするほか、リンパ腺の腫れ、筋肉の痛みや皮膚の腫瘍などに有効です。

食材例: 豚肉、昆布、ひじき、のり、エビ、イカ、アサリ、ホタテなど

●「五性」とは

食物には、5つの食性があります。
その食物が体内に入ったときにどう作用するかを表したもので、作用の程度により「寒性、涼性、温性、熱性」、寒にも熱にも属さない穏やかな食性である「平性」の5つに分類し、「五性」と呼んでいます。食物の7割は「寒、涼、温、熱」に属さない「平性」にあたります。

■ 寒性・涼性

寒性・涼性の食物を食べると、余分な熱を取り、体内で発生する様々な炎症を抑えることができます。また、血液浄化、解毒、便通改善、利尿促進など体内に溜まっている老廃物を除去する働きもあります。寒性のほうが涼性より作用が強くなります。

食材例:ゴーヤ、冬瓜、トマト、セロリ、ナス、きゅうり、ほうれん草、れんこん、ゴボウ、大根、カニ、アサリ、スイカ、柿、そば、昆布、緑茶、塩、白砂糖など

■ 温性・熱性

温性・熱性の食物を食べると、内臓の働きが活性化し、血液の流れをよくして、新陳代謝を高めます。気力が増強し、エネルギー代謝も向上します。その作用は熱性の方が温性よりも強くなります。

食材例:生姜、ネギ、シソ、シナモン、唐辛子、コショウ、山椒、にんにく、長ねぎ、らっきょう、ニラ、かぼちゃ、かぶ、菜の花、羊肉、鶏肉、まぐろ、鮭、海老、栗、もち米、黒砂糖など

■ 平性

平性の食物は、体を冷やしすぎたり温めすぎたりせず、どちらにも属さない穏やかな性質をもつことが特徴です。性質が温和なため、虚弱体質や病後、子どもや高齢者などにもおすすめです。

食材例:うるち米、黒ゴマ、山芋、クコの実、梅、大豆、じゃがいも、さつまいも、しいたけ、キャベツ、卵、牛肉、ピーナッツ、イチゴ、ぶどう、いちじく、はちみつ、氷砂糖など

食性を利用して冷え症を改善

冷え性の人は体を温めるという目的から、温める力がもっとも強い熱性の食物を摂取すべきだと思うかもしれませんね。ところが熱性の食物は作用力が強い分だけ、摂りすぎると喉の渇きやイライラの原因になることもあります。

薬膳において大切なことは、食性を利用して体のバランスをコントロールすることです。

そこで、冷え対策には「温性」と「平性」の食物の組み合わせがおすすめ。また、体を温める温性の食物は、一旦体が冷えても体温が回復しやすくなることが最近の研究でわかっています。寒性・涼性の食物には鎮静作用があるので、火を通して調理したり、熱性の食物と組み合わせたりすることでうまくバランスを取るようにします。

冷え体質を改善したいなら、目的にあわせて食物を選び、煮る、焼く、炒める、揚げるなど様々な調理法で、薬膳料理を日々の食卓に上げる機会を増やしましょう。

冷えに効く!簡単な薬膳レシピ

昔から「冷えは万病のもと」と言われ、寒い季節には「腎」に負担がかかります。「腎」というのは腎臓などの泌尿器系で、発汗による水分代謝が減ることから、手足が冷えるほか、トイレが近くなる、肩が凝る、血の巡りが悪くなるなどの症状が出やすくなります。

寒い時期の食生活の基本は「腎」の働きをサポートする食物を取り入れることが大事。ここでは薬膳を普段の生活に取り込めるよう、冷え体質改善のためのレシピを紹介します。

牛薄切り肉のニンニクスープ

牛肉には体を温める強壮・興奮作用があります。熱々のスープに仕立て、循環機能を活性化させましょう。

・材料(2人分)
牛肉300g(薄切り)
ニンニク2片(擦り下ろし)
人参1/2本(短冊切り)

・作り方
1.擦り下ろしたニンニクを牛肉に揉みこむ
2.鍋にごま油を熱し、牛肉を炒める
3.水6カップと人参を加え、人参が柔らかくなるまで煮る
4.灰汁をとって、醤油、塩で味を整える

牡蠣のミルク煮

牡蠣には体に必要な潤いや血を補い、慢性の虚弱体質を改善させる働きがあります。根菜と合わせて、血行を促進させましょう。パン食にもご飯食にも合う一品です。

・材料(2人分)
牡蠣8個
人参、ジャガイモ、玉ねぎ
牛乳1カップ
小麦粉

・作り方
1.野菜をさいの目に切り、油で炒める
2.かぶるくらいの水を加え、野菜が柔らかくなるまで火を通す
3.牡蠣に塩を降ってぬめりをとり、水で洗う
4.水気を切った牡蠣に小麦粉をまぶして熱湯に入れ、火が通ったら取り出す
5.野菜を煮たスープに、牡蠣の茹で汁1/2カップと牛乳を加える
6.牡蠣を加え、塩、コショウで味を整える

揚げ餅の雪鍋

お餅は温性の食物で、それだけでも体を温める効果がありますが、消化の良い大根や、ネギ、小松菜と合わせるとその性質をさらに強めることができます。薬味を利かせていただきましょう。

・材料(2人分)
切り餅2切れ
大根1/2本(擦り下ろし)
長ネギ1/2本
出し汁2カップ

・作り方
1.フライパンにサラダ油を多めに入れ、餅を揚げ焼きにする
2.小鍋に出し汁を入れて、薄口醤油小さじ4、塩小さじ1/2で味を整える
3.煮立たせて、大根おろしと長ネギを入れ、最後に揚げた餅を加える
4.唐辛子や柚子の皮などの薬味をお好みで添える

薬膳料理で気をつけること

薬膳料理は総じて体に良いですが、ただし過信するのも考えものです。情報過多の現代においては、「…でガンが治る」「…が万病に効く」というような情報には踊らされないように注意する必要があります。

薬膳は薬ではないので、1度に大量に食べたからといって効果がすぐに現れるわけではありません。強迫観念に駆られ、特定の食物だけに固執することなく、できるだけ多くの自然の恵みを摂取するようにしましょう。

また、栄養素にだけ注目するのではなく、美味しさを満喫しながら食事を楽しむことが大事です。体に良いとわかっていても、美味しくなければ続きませんよね。薬膳料理は毎日継続することで効果・効能が徐々に現れてくるので、食べやすいように加熱したり、味を整えて味わいながら、日常生活に取り入れるようにしましょう。

まとめ

今回は、薬膳料理の基礎知識のほか、実生活の中ですぐに実践できる薬膳レシピをご紹介しました。
ファーストフードや炭酸飲料、添加物の多いお菓子など刺激的な味に慣れている私たちですが、健康に生きることと毎日の食事は切り離すことはできません。薬膳料理では、自分の体調や体質に合わせて必要だと思うものを食べるというのが基本。難しく捉えず、自分に必要な食物を見極め、それぞれのライフスタイルに寄り添う薬膳料理を探してみてください。

[ライター:古山まり]

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