2019/09/19
僕が運営するネットストア「りすなお店」のきっかけは、タイガー魔法瓶さんと一緒につくった「&bottle」がきっかけでした。実はこの「&bottle」、タイガー魔法瓶さんとプロジェクトをスタートさせてから商品になるまでに、な、なんと12年もの歳月がかかりました。今回はこの&bottleの話から、「もちはだ」とのコラボレーションテーマについて話をしたいと思います。
2000年のはじめ、缶ジュースがペットボトルに変化しはじめた頃に、なんでもポイポイと使い捨ててしまう世の中になってはいやだと、僕は「マイボトル」という言葉をつくり、オフィスなどに水筒を持参することを提唱しました。メーカーさんや小売店さん、また全国のコーヒーショップなどの後押しもあって「マイボトル」という言葉や文化は浸透し、多くの人がペットボトルの便利さとはまた違う、水筒を持つことの利便性や楽しさを味わってくれるようになりました。 あっ、ちなみに僕のやっている「編集」という仕事はそういうお仕事なんです。本や雑誌、ときには商品をつくったりすることで、あたらしい価値観や文化を伝える。それが「編集者」の仕事です。
そんなこともきっかけの一つとして、タイガー魔法瓶さんと取り組むことになったあたらしい魔法瓶「&bottle」。それが形になるまで、どうして12年もかかってしまったのか? それは僕が大きく二つのことにこだわったからでした。その二つとは、「カップ付きであること」と「安売り前提じゃない商品をつくること」。特に二つ目は、流通そのものの仕組みに関わる大きな問題なので、ここで深く説明することはなしにして、一つ目のカップ付きであることの意味に関して少し書きたいと思います。
そもそも僕が魔法瓶の良さに気づいたのは、ある小学生の女の子が、僕に「飲む?」と、水筒のコップに注いだお茶を差し出してくれたことがきっかけでした。暑い夏にキンキンに冷えた麦茶の味が忘れられず、その足で東急ハンズまで魔法瓶を買いに行ったのをはっきりと覚えています。そんな風にコップがあるだけでシェアできる。もしくはシェアしたくなる。そのことが僕にはとても魅力的に思えたのですが、売り場にあったコップ付き水筒は、子ども向けのものか、もしくは工事現場のおじさんたちが持っているようなタフで大きなものばかりで、僕が欲しいと思えるものはありませんでした。
その後世間では、iPhoneを筆頭にスマホが登場。時代はどんどんパーソナルな方向へと加速していきました。そんなパーソナルな時代のなかで「マイボトル」という言葉はある意味で追い風をもらったのですが、その結果、魔法瓶はタンブラーが主流となり、ともなって軽量化や小型化が進んでいきます。そしていつしか、コップ付きの水筒なんて無用の長物だと言われるようになってしまいました。
けれどそこからさらに時は過ぎ、2019年のいま、あらためて僕たちは「シェアすること」の大切さに気づきはじめているように思います。プラスティック問題が深刻な状況となり、フードロスもいよいよ明らかになった現在、限りある食糧や資源をシェアしていくことは喫緊の課題です。また金融面においても、シェアの精神を支えるクラウドファンディングやサブスクリプションなどの仕組みが充実してきたことで、「シェアすること」はいまを生きる僕たちにとってとても自然な考え方になりつつあります。
そこで僕は、「&bottle」で温かい飲み物をシェアしたくなるように、そのあたたかさをシェアしたくなるような衣服をつくりたいと思いました。1回目の原稿に書いたように「もちはだ」に初めて袖を通したときのあの感動を、暖かさを、僕は多くのみなさんとシェアしたい。つまり「あったかいをシェアしたい」が、「もちはだ」と「Re:S(りす)」の共同ブランド「もちりす」の大きなテーマです。次回はいよいよ「あったかいをシェアしたくなる」第一弾の商品を発表します!
もちりすシェアカーディガン |
Re:Sコラボネックウォーマー |