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ヒートショックは急激な温度変化が原因!安全に過ごすための12の対策

2021/02/01

急激な温度変化によって血圧が急上昇・急降下し、体に悪影響を及ぼすヒートショック。
「ヒートショックは高齢者にだけ起こるもの」と考える人も多いかもしれません。
しかしながら、これはヒートショックが発生する割合が「高齢者に多い」ということであり、子どもであっても若い成人であっても起こる可能性がまったくないわけではないのです。
気温が下がる冬場に多く見られるヒートショックは、あらかじめ対策をしておくことで予防をすることが可能です。
ヒートショックの正しい知識をもって、寒い季節も安全に過ごしましょう。

ヒートショックとは

ヒートショックは、暖かい部屋から寒い廊下に出たときなど、急な温度の変化によって起こります。
温度差が大きくなることで急激な血圧の変化が起こり、のぼせや失神、不整脈、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などを発症してしまう場合があります。

例えば入浴を例にあげると、暖かい部屋から出て冷えた脱衣所に入ると、急激に寒さを感じて血管が収縮します。
そのため、一時的に血圧が上昇します。
服を脱いでさらに血管が収縮し、血圧が上がったところに体へ熱いお湯をかけると、急激に血管の収縮がゆるみ、血圧も急激に下がります。

このように血圧の急上昇と急降下を繰り返すことが脳血管へのダメージとなり、最悪の場合には血管の弱い部分が破裂し、脳出血に至ってしまう場合もあります。

ヒートショックになりやすい人の特徴

ヒートショックになりやすい人の特徴は以下の通りです。

65歳以上の高齢者

ヒートショックが発生する年齢の中央値は高齢者です。
消費者庁の資料によると、平成27年の家庭の浴槽での溺死者数は4,804人にのぼり、うち65歳以上の高齢者が約9割を占めています。
まずは、高齢者本人とその家族がヒートショックを起こしやすい年齢であることを認識しておくことが大切です。
そうすれば、本人も温度変化に注意して行動したり、入浴時に家族が声をかけたりすることができます。
ヒートショック発生の認識があるのとないのでは、危険性は大きく異なってきます。

生活習慣病の方

ヒートショックのリスクは、生活習慣病の方にもあります。
糖尿病を患っている場合、自律神経に障害があり、血圧が不安定です。
そのため、浴槽から出ようと立ち上がったときに血圧が一気に下がりやすい傾向があります。
高血圧や脂質異常症では、動脈硬化が進んでいることが多いため、血圧が変動しやすくなります。
また、高脂血症・高コレステロール血症などで血栓がある場合、血圧の急変動により血管内に出来た血栓がはがれ、脳へと運ばれやすくなってしまいます。
このはがれた血栓が脳の血管に詰まってしまうと、脳梗塞を引き起こす確率が高まります。

子どもや若者も無縁ではありません

子どもや若者は血管が柔らかいことから、少々の血圧上昇では脳卒中や心筋梗塞にはならず、ヒートショックの危険は一見なさそうに思えます。
ですが、子どもや若者だからといってヒートショックは無縁ではありません。
若いから大丈夫!と思って温度差を気にせず、熱いお風呂にザブンと飛び込むと、縮んでいた血管が広がり急激に血圧が下がります。
そのまま湯船の中で気を失ってしまう事故も実際に起こっています。
若者や子どもにもヒートショックが起こる可能性があり、油断は禁物であるということを覚えておきましょう。

もし家族がヒートショックになってしまったら?

同居の家族や周囲にいる人がヒートショックになっても、慌てず対処ができるようにしておくと安心です。

貧血やめまい、たちくらみ

ヒートショックの主な症状のうち、軽度の場合は貧血やめまい、たちくらみが起こります。
このような症状が出たら、横になって安静にしましょう。

意識障害を引き起こすような重度の場合は、迅速かつ適切な判断が不可欠です。
具体的には、以下のような症状があります。

しめつけられるような胸の痛み・呼吸困難・嘔吐・意識障害

このような症状があれば、心筋梗塞のおそれがあります。
一刻を争う状態なので、すぐに救急車を呼んでくさい。
応急措置は、嘔吐している場合は吐瀉物を取り除き、横向きに寝かせ、頭を後ろに反らせて気道を確保します。
入浴中の事故の場合には、まずは湯船から出すことを考えましょう。
とはいえ、意識がない人を担ぎ上げるのは一人では難しいもの。
すぐに人手を要請できない場合は、浴槽の水を抜き、お風呂のふたなどで上半身を支えて沈まないようにします。

頭痛・嘔吐・めまい・眠り込む・ちぐはぐな受け答え・意識障害

このような症状があれば脳卒中の恐れがあり、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
脳卒中であれば、頭部を動かしてはいけません。
そのため、意識がないからといって、無理に揺さぶったりすることは厳禁です。
吐瀉物が喉につまらないよう横向きに寝かせた状態で、救急車を待ってください。

上記2つのように、心筋梗塞と脳卒中は、ヒートショックによって生じる最も重篤な症状です。
また、心停止・呼吸がない場合は、救急車が来るまでに心肺蘇生などの救急措置を行うことが望ましいですが、正しい蘇生法を行うには知識が必要です。
高齢者のいる家庭では、各自治体の講習を受けるなど普段から救急蘇生法について知っておくと、いざという時に役立つでしょう。

ヒートショックを起こさないための12の対策

ヒートショックは生活環境や習慣を改善することで防ぐことが可能です。
トイレ・洗面室・浴室など、極端な温度差がある場所はヒートショックを起こしやすく、特に冷え込む季節は注意が必要です。
寒い住環境はヒートショックに限らずさまざまな病気に影響を及ぼすため、我慢せず対策をしましょう。

入浴において気をつけるべき点

ヒートショックによる入浴中の事故には、血圧の低下や変動から意識を失い、浴槽の水を吸い込んでしまうケースが多くあります。
そして、血圧の変動のほか、体が温まることで血液の性状が変わることも原因の一つといわれています。

食事は入浴後が安心

食後は消化のために血液が胃や腸に集まり、血圧が下がります。
この状態で入浴をすると、湯温の刺激によって反射的に皮膚の血管が収縮します。
血圧が一時的に上昇し、血管内の変動がより大きくなって貧血に近い状態になることもあります。
ヒートショック予防、さらには消化吸収の作用を鈍らせないためにも、食後1時間以上経ってから入浴する、または、入浴後に食事をするなど工夫しましょう。

飲酒後の入浴は厳禁

飲酒には、一時的に血圧を下げる作用があります。
アルコールを飲むと、アルコールの代謝生産物のアセトアルデヒドの血中濃度が増えることで、血管が拡張し血圧が下がります。
これにより、飲酒後の入浴は血圧のアップダウンの変化の幅がより大きくなるという危険があります。
また、飲酒後はアルコールの作用によって意識が朦朧(もうろう)としているため、体の反応も低下し転倒しやすくなります。
歳を重ねるごとに体温が下がる時間帯が早くなる傾向があり、そのため高齢者は1日の中で体温が安定しやすい夕方16~19時の入浴が推奨されています。

浴室と脱衣所を暖めてから入浴する

暖房器具を設置するなどして、入浴前に浴室を暖かくしておくことも効果的です。
暖房器具が取り付けられない場合は、浴槽にお湯を溜める際にシャワーを使い高い位置から注いだり、お湯を張った浴槽のふたを開けたりしておくことで浴室内を暖めることができます。
脱衣所が寒いままでは浴室との温度差が広がってしまうため、脱衣所にも小型ヒーターなどの設置ができれば、なお安心です。

かけ湯を忘れずに

入浴時にはいきなり浴槽に入らず、心臓に遠い手足からかけ湯をしましょう。
体をお湯の温度に慣らす目的があり、これによって急激な血圧の変化を防ぐことが可能です。
また、湯船につかると心臓や循環器への負担が大きくなりますが、シャワーベンチを使用すると湯船につからなくても体を温めることができ、体への負担を減らすことができるでしょう。

湯船の湯温は低めに設定する

ヒートショック対策には、お風呂の温度にも注意が必要です。
熱いお湯に入りたいときは38℃から40℃程度のぬるめのお湯から入り、徐々に熱いお湯を足して調節するようにして、心臓に負担を掛けないようにしましょう。
42℃以上に設定した熱いお湯の場合、入浴直後に血圧が大きく上昇し、湯船から出る時に大きく下降するため、ヒートショックの危険度が高まります。
室温計や湯温計を用いて、「浴室内の温度は高く、お湯の温度は低く」を心がけましょう。

長風呂は避けて

長風呂をすると血流が増加して血圧が下がりすぎてしまい、入浴後に血圧が急上昇するとそのショックで症状が発生しやすくなります。
高齢者の体にとって、入浴は想像以上に負担が大きく、体力を消耗する行為です。
長湯になりそうなときは頭に水で濡れたタオルを乗せると、体が温まり過ぎるのを防ぐのに効果的です。

浴槽から立ち上がる時は転倒に注意

浴槽から急に立ち上がると、かかっていた水圧がなくなることで血管が一気に拡張し、脳への血液が減って貧血状態に陥ってしまい、一過性の意識障害を起こしやすくなります。
また、立ちくらみや貧血、めまいを起こすと、転倒や転落のリスクが高まります。
万一の時に不安定な体を支えられるよう、手すりがあると安心です。
手すりがない場合は、浴槽のへりを利用して体を支えながら、ゆっくりと立ち上がるようにしましょう。

他の人が声かけする

入浴中に体調の異変があった場合は、早期に対応することが大切なので、入浴前に家族やヘルパーに一声掛ける習慣をつけましょう。
実際のところ、公衆浴場や服施設等では体調が悪くなったときの発見が早いため、家庭内より事故が少ないという特徴があります。
普段より入浴時間が長い場合は様子を見に来てもらえるよう伝えておくなどして、安心できる環境で入浴をすることが大切です。

入浴前と入浴後には水分補給を忘れずに!

入浴前に1杯のお水を飲むことで発汗を促し、入浴後の補水で体内の水分量を減らさないことがヒートショックの予防につながります。
入浴で体が温まるとたくさんの汗が身体から出ていき、体内の水分が減って血液がドロドロになってしまいます。
ドロドロ血液は血管に詰まって血栓ができやすくなり、血圧が上がると脳梗塞や心筋梗塞を誘発しやすいため、入浴前と後に水分摂取をして、血圧や血流の変動が起こりにくい状態を作るようにしましょう。
喉が渇いていなくても、意識的に水分補給をすることが大切です。

トイレも、排便でいきむと血圧が一気に上がり、排便後に血圧が急低下するため、ヒートショックが起こりやすい場所です。

トイレも、排便でいきむと血圧が一気に上がり、排便後に血圧が急低下するため、ヒートショックが起こりやすい場所です。

排便の際にいきみすぎない

排便時のいきみがヒートショックを引き起こすことがあります。
いきみによって体が緊張状態になり、交感神経が活発化することで血圧が30〜70も上昇するというデータがあります。
つまり、普段血圧が正常な人でも、排便時のいきみで血圧が200を超える可能性があるということです。
動脈硬化や高血圧の持病がある人は、脳出血などを起こすリスクもあり非常に危険です。
そのため、日頃から水分や食物繊維の多い食事を意識して、便秘にならないようにする健康管理も大切です。

寝室とトイレは近い場所に設定する

夜中置きて寒い廊下を通ってトイレに行かなくて済むよう、寝室はトイレに近い部屋に設定しましょう。
布団の中の温度は大体30℃ですが、部屋の温度が10℃だとすると、約20℃の温度差があります。
そこからさらに温度の低い廊下やトイレに行くことで、ヒートショック発生のリスクが高まります。

トイレにも暖房器具を活用して

現在では、トイレ用の暖房器具も充実しています。
例えば、暖房付き便座や人感センサー付き足元ヒーターなどがあります。
機能だけで選ぶと置くスペースが確保できず困ることがあるため、状況に応じたものを選びましょう。
また、ポータブルトイレを活用すれば、寒い廊下やトイレに移動する必要もなく、ヒートショックのリスクを低減することができます。

まとめ

ヒートショック対策の基本は、“寒暖差を無くすこと”です。
時に命にかかわることもありますが、正しい知識を持ち、対策を講じることで、防ぐことも可能です。
万全なヒートショック対策をして、この寒い冬を元気に乗り切りましょう。

[ライター:古山まり]

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