2023/11/20
在宅で仕事ができる今の時代。
都会の喧騒から離れ、田舎で子育てしたいと考える方も多いのではないでしょうか。
実は田舎には子育てに向いていない面があるのです。
私は茨城県の田舎で育ち、東京に10年住んだのち、今は北海道で妻と2歳の子供と家族3人で暮らしております。
この記事では、田舎と都会の両方での生活を経験したことのある私が実際に感じた、田舎での子育てのメリットデメリット。そして、田舎で暮らしていくために必要だと感じたことを紹介していきます。
この記事を読むと、実際に田舎で暮らしていく感覚がわかり、理想だけではなく現実的な田舎暮らしを理解することができる、移住への第一歩となります。
自然が溢れる田舎の子育てには、都会の子育てとは違うメリットデメリットが存在しています。
ここでは、田舎のメリットデメリットを確認し、都会との子育ての違いについて紹介していきます。
田舎の子育てのメリットの1つは、自然に囲まれて過ごせることです。
山や森、海や川、ひらけた大地など、田舎には自然と触れ合う機会が多くあります。
家に籠ることなく、外へ遊びにいくことが多ければ、それだけ子供も健康的に育つことができます。
また、自然の中で動物や植物と触れ合うことで、新しいことへの好奇心や想像力を小さい頃から養うことができます。
さらに自然と触れ合うことで、集中力の向上やストレスの軽減にもつながり、子供だけではなく、一緒に遊ぶ親の生活環境向上にもなるでしょう。
田舎では、子供に対して前向き、肯定的な人が多くいる中で子育てをすることができます。
都内では、ベビーカーに乗った子供や妊婦の方が、電車に乗るだけで煙たがられることがあります。
田舎では、ご高齢の方が多くいたり、家族で住んでいる方が多いのもあり、子供に対しての接し方がやさしい方が多い印象です。
どこに行くにしても、子供に明るく笑顔で対応してくれるため、出かけることに対する抵抗感がなく、子供との時間を有意義に過ごすことができるでしょう。
また、子供のことを気にかけてくださることが多いので、治安や安全性という面からも子育てがしやすいと言えるでしょう。
私自身、子供が大きくなってきて、家で足音を立てて過ごしていても特に大きな苦情を言われたことがありません。そういった子供に対する大らかさから、子育てのしやすさを感じます。
ただ、足音を立てていいわけではないので、申し訳ないと思いながら暮らすのは、都会も田舎も変わらないかもしれません。
田舎では、待機児童の少なさも子育てのしやすさと言えるでしょう。
都内では、保育園に預けることができず、思うように働きに出ることができない状況があります。
その点田舎では、比較的スムーズに入ることができ、仕事という面でも子供を育てやすい環境にあるといえます。
田舎では、生活コストが低いことも子育てしやすいメリットといえます。
家賃は都会と比較すれば、かなりやすく抑えることができるため、その分を子供の教育費に当てることができれば、より充実した子育てを行うことができます。
また、都内と比べて土地代も安いため、家族で過ごすための一軒家を購入するのにも、田舎は適しているといえるでしょう。
田舎では、自然に囲まれている分、害虫や動物に出くわす機会が頻繁にあります。
北海道では、特にクマの目撃情報をよく聞くことになります。
クマが出たというニュースを見ていたら、自分がさっきまでいた場所の近くだったということはよくあることです。
また、北海道で有名なキツネも、「エキノコックス」という寄生虫を保有しており、病気の原因となりうるものです。
自然に囲まれているゆえに、都会ではない危険性をはらんでいるのが田舎と言えるでしょう。
田舎のデメリットの1つとして、大きな病院の少なさが挙げられます。
全ての時間帯で対応している病院は限られており、いざ何かあった時には病院に行こうとしても車で1時間以上かけて向かわないといけないこともあります。
また、小児科がある病院も少なく、子供の体調不良などにすぐに対応できない可能性があります。
そのため、子供の日頃の体調管理に、より一層気をつけなければならないのが、田舎での子育てと言えるでしょう。
子供が大きくなって、習い事をしたい時に、田舎は選択肢が少ないといえます。
都会でしたら、多種多様で、場所も様々なところで習い事ができます。
しかし、田舎では住んでいる人も限られているため、習い事を選ぶほどの種類がない可能性があります。
また、習い事は子供によってやりたいものが異なるため、周りの環境を調べておいても対策するのは難しい問題と言えます。
習い事のために、長い距離を送り迎えをしないといけないことも考えられ、負担になる部分と考えなければなりません。
都会に比べて娯楽施設が少ないのも田舎です。
家族でどこか出かけようとした時、車で1〜2時間かけて向かうことも少なくないでしょう。
バスなどの公共交通機関で向かおうとすると、子供を見ないといけない時間が増え、移動が大変になることが予想されるため、車が必須の生活となります。
また、出かけるのにかかる時間を考えると、田舎暮らしにも関わらず、家で過ごすことが多くなることがあり、田舎の良さをうまく利用できないことにもなります。
ご近所とのお付き合いは、田舎ではデメリットとしての側面もあります
田舎では都会と比べて不便なことが多く、お互いに助け合うために、近所の方とのコミュニケーションが必要な場面が多々あります。
共存関係の意味合いがあるコミュニティなので、人間性の不一致や、馴染めなかった時に、噂や情報が回りやすく、一気に生活がしにくくなる場合があります。
例えば、いわゆる「ママ友」との関係性の悪化は、子供の生活環境にも直結する問題にもなりかねません。
このようなことから、都内ではない人間関係の悩みが生まれる可能性が、田舎にはあると言えるでしょう。
ここまでは、よく言われている田舎暮らし子育てメリットデメリットを挙げてきました。
ここからは、実際住んでみてわかった田舎の子育てについてを紹介していきます。
メリットとしてあげた『自然の中で子育てできる』ですが、一時的なものになりやすいものだと言えます。
なぜなら、自然も飽きるし、満喫し続けるには親側の体力がいるからです。
都会から引っ越してきて、田舎に暮らし始めた時には、山も川も目新しく、よく子供と出かけることになります。
ただ、家からすぐ行ける自然は限られています。
雨など天候が悪い時には、どこか別の場所に出かけたいとなることも多いでしょう。
しかし、田舎には娯楽施設が少ないため、車で時間をかけて出かけないといけなくなります。
また、自然で遊ぶのは体力がいることです。
子供が遊べるからいいのではなく、一緒にいる親も遊ぶ体力が必要になります。
体力がなく、子供の馬力になかなかついていけない結果、せっかく田舎にきたのに、大自然を窓から眺めながら家でテレビを見て過ごすなんてことにもなりかねません。
私も、家の近くの自然は行き尽くして飽きてしまい、子供と家でマットレスの上でジャンプして遊ぶことが定番になっています。都会でもできることで、時間を過ごしているわけです。
もちろん、自然が豊かですぐ触れられるところにある生活は、心身ともにリフレッシュができる、とても有意義なものです。
ただ、その自然だけを目的に生活しようとすると、田舎の不便さと体力の必要性を目の当たりにすることになるため、注意が必要でしょう。
メリットでも挙げた、『子育てに前向きな近所とのコミュニケーション』のコミュニケーションですが、これも一概にいい面だけとは言えません。
田舎では都会と違い、誰とも接することなく暮らしていくのは難しいと言え、ご近所付き合いは必須であり、時と場合によっては、煩わしく感じることもあるからです。
田舎では、都会と比べて不便なことが多く、近所のコミュニティで協力する必要がある場面に多く出くわします。
北海道で言えば、大雪に見舞われた時の雪かきです。
大雪ともなると、1人で雪かきできる量にも限界があり、必然的に周りと協力しながら行う必要性が出てきます。
私自身、ご厚意で近所の方が動かしてくれた雪かきをする重機に、何度も助けられました。
ご近所の方がいなかったら、私の家の車は、冬の間ずっと雪の下に埋もれていたかもしれません。
いざという時に助け合うためにも、日常的なコミュニケーションは、したくなくてもしないといけない環境なのです。
中には、子供をよく思わない人もいるでしょうし、逆に距離感が近すぎて、お節介が過ぎる人もいるかもしれません。私のまわりでは、特にご老人はぐいぐいくる印象があります。
このように、人間関係を避けたいと思っても避けられない側面があることも、理解しておいた方がいいでしょう。
田舎で暮らすメリットに生活費が安く、コストがかからないというのがあります。
しかし、単純に「お金がかからない」とも言えない面があります。
それは、車や暖房費などで、都会ではかからないお金が考えられるからです。
確かに家賃だけを見れば、東京都の同じ間取りのものと比べて、かなり安いといえます。
しかし、田舎は近くのスーパーなどへの買い物、学校や習い事の送り迎え、家族で出かけることを考慮したとき、車は必須と言えます。
車には固定費・ガソリン代がかかり、住む地域によっては、冬用のスタッドレスタイヤを準備する必要も出てくるでしょう。
また、北海道や東北などの雪が降る地域では、冬は常にストーブをつけておくことになります。
冬の暖房費は、他の季節の2倍以上かかることが想定され、いくら家賃が安くとも、家計を圧迫する要因になります。
また、地方で働くとなれば、どうしても都会と比べると給与水準が低くなることが想定されます。
コスト面に関しては、実際に住んでみないと分からない出費もあるということです。
結果的に、子供に対して回すお金がない状況にならないためにも、1年を通して、どのような生活を送ることになるのか把握しておくことが大切です。
実際に田舎に住んでみると、事前に確認しておいた方がいいことが多くあります。
ここでは、子供と田舎に住むにあたって、事前に確認しておいた方がいいことを紹介いたします。
移住するにあたって、目的を明確にしておくことが大切です。
目的を明確にすることによって、生活基準がはっきりするので、多少都合の悪いことを許容できるからです。
田舎暮らしは、どうしても都会に比べて不便です。
何をするにしても遠く、車が必要ですし、雪が降る地域でしたら近くのコンビニにいくことすらままなりません。
自然が多いからと期待して移住してきても、動物や害虫の多さに悩むことになるかもしれません。
また、子供のためと思って移住しても、環境に親が馴染めなければ、家族全体がストレスを抱えて生活することになります。
目的を明確にした上で、起こりうるデメリットをどれくらい許容できるかが、田舎での生活・子育てには大切でしょう。
ちなみに、私は結婚を機に北海道にやってきましたが、特になんの目的もなく流されるがまま生活しているので、逆に不満に思うことは何もありません。
期待をせず、のんびり過ごすのが田舎の正しい過ごし方なのかもしれません。
田舎では、周りに頼れる人がいるかどうかも重要なポイントになります。
何か起きた時にすぐ助けてくれる存在は、不便な田舎で暮らす上で、とても心強い存在だからです。
私も今、妻の実家の近くに住んでおり、定期的に子供を預かってもらうことで、仕事に集中する時間を作ることができ、生活に余裕を持って過ごすことができています。
過ごしている地域で分からないことがあれば、すぐに聞けるという安心感があることも、田舎で暮らしていくために必要なことでしょう。
もし頼りにできる人がいないのであれば、より近所の人との交流が大切になってくることを、認識しておくことが大切です。
送り迎えをする可能性のある、学校や習い事の場所も、確認しておく必要があるでしょう。
子供が大きくなれば、中学校、高校、そして大学と通うことになり、家からの通学も、日々の生活において大きなポイントとなるからです。
田舎といえど、通学の距離が長ければ危険性も増えますし、送り迎えに時間を要することになります。
将来、子供が学びたいことができた時、対応することができるように、学校や習い事の場所は事前に確認しておくのがいいでしょう。
しかし、あまり考えすぎると、便利な都会で暮らした方がいいような気がしてくるので、ある程度送り迎えや大学へ通い始めた時の仕送りなどのコストを理解した上で、移住することが望ましいでしょう。
田舎で住むことや、子育てをすることに関して見てきましたが、田舎と都会どちらが子育てに向いているのでしょうか。
結論から言うと、子供ではなく親自身がどれくらい環境に適応できるかが重要でしょう。
田舎は、自然が豊かで子供がストレスなく暮らすには適した環境だといえます。
しかし、不便なことも多く、生活を支えなければいけない親からしたら、負担に感じることも多くあるでしょう。
家族全体として、田舎で住むことを許容できなければ、子供にとってもいい環境とはなりません
都会でも田舎でも、それぞれのメリットデメリットを、親が理解・許容していけば、場所を問わず、子供にとって成長できる最高の環境となりうるでしょう。
田舎に住みたいと言っても、「少し森を見てたいな」くらいでしたら週末に森を見に行って、都会に帰るのがいい生活スタイルと言えるかもしれません。
個人的な理想は、こう言い出したら身もふたもありませんが、「すぐ都会に出れる田舎」です。
子供と田舎で住むことは、自然と触れられ、とてもいい環境です。
しかし一方で、都会と比べ不便に感じることが多く、事前に理解し準備することが大切です。
田舎には何があって何がないのか、何のために田舎で生活をするのか。目的を明確にすることで、不便さをものともしない、より良い田舎での子育てを楽しむことができるでしょう。
ライター:小澤隆史
元お笑い芸人で現在は動画編集を中心にフリーで活動中
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