2020/12/11
寒い冬に楽しめる場所と言えば「温泉」が定番です。
日本には全国各地に温泉地があり、泉質によって「疲労回復」や「肩こり改善」など、効果に違いがあります。
温泉に入って温まるだけでもカラダに良い影響をもたらしますが、泉質ごとの効果・効能を知ることで、より温泉を有効に利用することができます。
今回は、泉質ごとの効果効能と合わせて、心身の健康に効果的な温泉の入り方もお伝えしていきます。
温泉旅行へ行く際にぜひ参考にしてみてください。
そもそも、温泉はなぜ健康に良いと言われているのでしょうか。
それは、温泉に浸かることで、「温熱効果」「リラックス効果」「泉質による効果効能」といった3つの効果が得られるからです。
家での入浴でも言えることですが、温かいお湯に浸かると全身の血行が促進され、新陳代謝が高まります。
新陳代謝がUPすると滞った老廃物が流れ、体外への排出を促してくれます。
老廃物はカラダにとって不要なものなので、排出されることで疲労回復にも効果があります。
温泉に浸かると、全身に水圧と浮力が働きます。
浮力が働くことで、水中で感じる体重は1/9となり、日ごろ感じている重みや足腰の負担が軽減されてリラックスすることができます。
いつもカラダを支えてくれている関節部分も、温泉に浸かっているだけで休まります。
また、水圧も働いて全身に水の抵抗力がかかるので、温泉に入りながらマッサージのような効果も得ることができます。
温泉には、泉質によって含まれる成分が異なります。
硫黄や食塩、鉄など、温泉の成分によって、さまざまな疾患に効果効能があります。
こういった温泉に含まれる成分により、カラダの不調や症状を改善できるケースがあります。
日本には全国各地に温泉地がありますが、場所によって湧き出ている泉質が違うため、効果効能も当然異なります。
温泉をよりうまく活用するには、カラダの不調や症状の改善に効果のある泉質を選ぶことが重要です。
単純温泉は、もっとも刺激が少なく、入る人を選びません。
肌が弱い方からご年配の方、小さな子どもまで幅広く入浴することができます。
単純温泉は日本各地に数多くあるので、一番身近な泉質の温泉とも言えるでしょう。
単純温泉のなかでも、PHが8.5以上のものは「アルカリ性単純温泉」に分けられます。
アルカリ性単純温泉は、別名“美人の湯”と呼ばれるほど美肌に良いとされ、浸かると肌がつるつるになるので、女性にとってはうれしい泉質です。
・「単純温泉」のある温泉地
下呂温泉(岐阜県)、道後温泉(愛知県)、湯布院温泉(大分県)、白馬八方温泉(長野県)など
塩化物泉は、海水のように塩分を含んでいることが特徴です。
お湯に溶けた塩分が、入浴後の発汗を抑制するため、肌の保湿や保温に効果があります。
水分の蒸発を防ぐことから、乾燥肌や慢性的な皮膚病を持つ方にもおすすめの泉質です。
また、保温効果があるため湯冷めしにくく、血行促進や冷え性にも効果的です。
ポカポカに温まるので、全身の筋肉がほぐれ、蓄積した疲労も軽減します。
・「塩化物泉」のある温泉地
肘折温泉(山形県)、熱海温泉(静岡県)、和倉温泉、片山津温泉(石川県)など
炭酸水素塩泉は、炭酸ガスを含んでいる泉質です。
日本にある炭酸水素塩泉の多くは“アルカリ性”で、美肌にもうれしい効果があります。
また、炭酸ガスには血管拡張の効果があることから、血流や新陳代謝を促進します。
炭酸水素塩泉は、不要な皮脂をキレイに洗い流してくれるため、湯上りもさっぱりとした清涼感があるのが特徴的です。
・「炭酸水素塩泉」のある温泉地
別府温泉(大分県)星野温泉(長野県)、東鳴子温泉(宮城県)、嬉野温泉(佐賀県)など
硫酸塩泉は、その名の通り、お湯に“硫酸”が多く含まれています。
切り傷や火傷のほか、末しょう循環症、ストレスなど、心身の症状改善に効果が期待できます。
日本の三大疾病とされている、脳卒中のリスクも緩和すると言われている、“長寿の泉質”なのです。
・「硫酸塩泉」のある温泉地
と緒方温泉(宮城県)、赤倉温泉(新潟県)、四万温泉(群馬県)、山中温泉(石川県)など
二酸化炭素泉は、炭酸ガス(二酸化炭素)がお湯に溶けている泉質です。
そのため、炭酸飲料のようにシュワシュワとした気泡が温泉のなかにも見られます。
二酸化炭素泉に入ると、カラダに小さな気泡が付いてシュワシュワとした入り心地が楽しめます。
その感触は、炭酸ジュースのお風呂に使っているかのようです。
また、二酸化炭素泉の炭酸ガスは、皮膚表面から体内に吸収されて、血行を促す効果があります。
動脈硬化や高血圧症など、幅広い疾病に良いと期待できるのも、二酸化炭素泉の魅力です。
二酸化炭素を含む温泉は低温で、温度が上がりにくいため、あまり心臓に負担をかけず入浴できるメリットもあります。
・「二酸化炭素泉」のある温泉地
玉川温泉(秋田県)、大塩温泉(福島県)、長湯温泉(大分県)、吉川温泉(兵庫県)など
含鉄泉は、鉄を多く含む泉質です。
温泉の色も“茶褐色”と、かなり特徴的で、さびた鉄の臭いがします。
見た目のインパクトは強いですが、含鉄泉に溶けた鉄は、リウマチや月経障害に効果的です。
含鉄泉は保温効果が優れているため、“冷え”の改善が期待できます。
・「含鉄泉」のある温泉地
鳴子温泉(宮城県)、加賀井温泉(長野県)、雲仙温泉(長崎県)、有馬温泉(兵庫県)など
酸性泉は、酸性度がとても高い泉質です。
酸性泉のなかでも、PHが高いものは“強炭酸性泉”と呼ばれます。
酸性泉は、肌への刺激が強いのが特徴です。
入浴すると、ピリピリした刺激が感じられるので、肌が弱い方や小さな子どもには向いていません。
ですが、酸性の刺激が強い分、殺菌力が高いため、切り傷や火傷のほか、ニキビ、アトピー性皮膚炎にも効果が期待できます。
・「酸性泉」のある温泉地
玉川温泉(秋田県)、須川温泉(岩手県)、草津温泉、万座温泉(群馬県)、蔵王温泉(山形県)など
含よう素泉は、名前の通り“よう素”をたっぷり溶けた泉質です。
よう素は、うがい薬などに使用されている成分で、高い殺菌力があります。
そのため、含よう素泉は「自然のうがい薬」のような温泉です。
・「含よう素泉」のある温泉地
大潟温泉(秋田県)、新屋温泉(秋田県)、新津温泉、聖龍温泉(新潟県)、白子温泉(千葉県)など
硫黄泉は“硫黄”を含み、たまごが腐ったような温泉ならではの香りが大きな特徴です。
臭いが強いのと同様に、他の泉質より刺激も強めとなります。
硫黄泉は殺菌効果が高いため、皮膚病の改善に期待できます。
そのほか、血管を拡張する作用もあり、動脈硬化や高血圧症、婦人病など、さまざまな症状に有効です。
「硫黄泉」のある温泉地
高湯温泉(福島県)、万座温泉(群馬県)、登別温泉(北海道)、白骨温泉、熊の湯温泉(長野県)など
放射能泉は、放射能(ラドン)を含む泉質です。
放射能と聞くと怖い印象を抱く方もいるかもしれませんが、放射線泉に含まれている放射の量はごく微量です。
レントゲンを撮るときに浴びる放射線よりもずっと少ないので、安心して入浴することができます。
放射能泉は、“痛風”に効果的な泉質として有名で、入浴するのはもちろん、飲んでも効果的です。
「放射能泉」のある温泉地
栃尾又温泉(新潟県)、恵那ラジウム温泉(岐阜県)、三朝温泉(鳥取県)など
温泉は、ただ浸かるよりも入り方を少し工夫するだけで、より効果効能を活かすことができます。
逆に、長時間入浴をしたり、準備運動をせずに入浴したりすると、カラダに負担をかけて疲労が溜まってしまうこともあります。
温泉へ入るときは、次のポイントをおさえて、正しい方法で入浴しましょう。
入浴中は気づきにくいですが、温泉に入ってカラダが温まるとたくさん汗をかきます。
発汗により水分が失われると、血液の粘度が高くなります。
そのため、血液をサラサラな状態にするには、温泉に入って失われる水分を事前に補給しておくことが大切です。
入浴前は、コップ1杯の水を飲んでおきましょう。
温泉では、すぐに湯船に入るのはNGです。
家のお風呂とは違って、温泉には泉質によってさまざまな成分が含まれています。
そのため、急に湯船に浸かってしまうと、カラダがびっくりしてしまいます。
また、カラダの汚れを落とさないまま湯船に入るのは、衛生的にも良くありません。
足先から順番に「かけ湯」をしてお湯の温度や泉質をカラダに慣らし、汚れを落としてから入浴するのがマナーです。
かけ湯をした後も、すぐにカラダが温泉に慣れるわけではありません。
初めから肩までどっぷり浸かるのではなく、みぞおちあたりまで浸かり「半身浴」をしながら、少しずつカラダを慣らしていきましょう。
湯船に浸かる前にカラダを洗うよりも、一度入浴してから洗った方が、温泉による効果効能がUPします。
なぜなら、一度入浴してカラダの汚れが落としやすくなった方がカラダもキレイになるからです。
ただし、カラダが汚れた状態で入浴するのはマナー違反。
必ず「かけ湯」をして汚れを落とし、いったん湯船につかった後、カラダを洗いましょう。
温泉に行くと、よく頭の上に折りたたんだタオルを乗せている人がいますよね。
実は、タオルを乗せているのは、温泉に入ってのぼせるのを防ぐためにとても効果的です。
のぼせやすい内湯はもちろん、夏に温泉へ入るときは、冷水で濡らした冷たいタオルを頭の上に乗せましょう。
ただし、冬の露天風呂の場合は、お湯で温めたタオルを頭に乗せます。
温泉に入るときは、“長風呂”になりすぎないよう注意が必要です。
「せっかく温泉に来たのだから」と、つい長風呂をしてしまいがちですが、カラダに良い効果効能がある温泉でも、長時間浸かりすぎるとカラダに負担がかかります。
そのため、「分割湯」をして、休憩しながら湯船に浸かりましょう。
温泉を出るときに、「あがり湯」をする方は多いでしょう。
あがり湯をする際、シャワーを使ってカラダを洗い流す人もいますが、温泉の効果効能を高めるのなら、シャワーはあまりおすすめできません。
シャワーを浴びると、肌に付いた温泉成分の膜が流れてしまいます。
肌への刺激が強い「酸性泉」などの泉質の温泉はシャワーであがり湯をした方が良いですが、基本的には温泉であがり湯をした方が温泉の効果効能がUPします。
入浴前と同じように、温泉から出た後も、しっかり水分補給を行いましょう。
温泉は、泉質ごとの特徴や効果効能を知っておくと、より入浴による効果が高まります。
温泉地や場所で決めるのも良いですが、泉質もチェックして、自分に合う温泉を見つけてみてはいかがでしょうか。
[ライター:natumama]
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